私たちが心身ともに健康で活動的な生活を送るためには、食事に気を遣うことも大切です。
バランスのとれた食事をすることが望ましいということは多くの方が知っていることですが、「バランスのとれた食事」とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。
和食の基本である「一汁三菜」は、主食(ご飯)と汁物に加えて3つのおかず(主菜と副菜2品)を組み合わせた献立形式で、一度の食事でバランスよく栄養素を摂ることができます。
和食という文化は世界からも評価され、2013年にはユネスコの無形文化遺産に登録されています。
一方で、ライフスタイルの多様化などに伴い食生活は変化し、栄養の偏りや不規則な食生活など、食に関する問題が増えてきております。
厚生省(当時)、農林水産省は、人々が健康で豊かな食生活を実現するために2000年に文部省と共同で「食生活指針」を策定し、その後2005年に「食生活指針」を具体的な行動に結びつけるものとして、「食事バランスガイド」を作成しています。
「食事バランスガイド」とは
「食事バランスガイド」は、一日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかを分かりやすくコマのイラストで表現したものです。コマのイラストと実際の一日の食事を見比べることで何が不足しているのか、どのような組み合わせにするとバランスが良くなるのか、分かりやすく確認することができるようになっています。
コマは「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5つのグループに分けられており、それぞれ目安となる料理とその分量が示されているので、これにより、「何を」「どれだけ」食べたらよいのかを、簡単に理解することができます。
また、年齢・性別・身体活動量によって、コマの大きさは異なるので、アピールする対象によって、全体量を変える必要があります。 バランスの良い食事にすることで、コマのバランスが良くなり安定して回転する、すなわち健康的な食事をとっていると考えることができます。
栄養素
何をどれぐらい食べればよいかはなんとなく理解できたかもしれませんが、具体的に体に必要な栄養素としてはどのようなものがあるでしょう。
人間の身体に不可欠な栄養素として、炭水化物・たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルが「五大栄養素」として挙げられます。
炭水化物
糖質は炭水化物の一種で、消化・吸収されることで脳や体を動かすエネルギーになります。脂質もエネルギーになりますが、糖質の方が燃焼が早いため体に吸収されるとすぐにエネルギーになります。
食物繊維も炭水化物の一種であり、腸内の有害物質やコレステロールなどの排出を助けたり、便通をよくしたりする働きがあります。
糖質はご飯、パン、麺類など、食物繊維はさつまいもやわかめなどに含まれています。
たんぱく質
たんぱく質は、筋肉・内臓・皮膚・爪・毛髪など人の様々な臓器・器官を作るのに欠かせない栄養素です。
たんぱく質は、「動物性たんぱく質」と「植物性たんぱく質」の2つに分類できます。「動物性たんぱく質」は肉類・魚介類・卵・乳製品などに、「植物性たんぱく質」は豆類・穀類などに多く含まれています。どちらもたんぱく質ですが、それを構成するアミノ酸の種類が異なるため、いろいろな種類の食品を食べましょう。
たんぱく質は肉、魚、卵、大豆製品などに含まれています。
脂質
脂質は、エネルギー源として使われたり、体の中で神経組織やホルモンなどを作るのに欠かせない栄養素です。
脂質は、分解されて小腸から吸収された後に肝臓に運ばれます。その後、体のすみずみまで行きわたり、エネルギーやホルモンなどの材料として使われたりします。過剰に摂取すると体脂肪として蓄えられますが、極端に摂取量を減らしてしまうとエネルギー源がなくなってしまうため、必要な量は摂るようにしましょう。
脂質は油やナッツ類などに含まれています。
ビタミン
ビタミンは、体の調子を整えるのに必要な栄養素です。人間に必要なビタミンは13種類あり、種類によって体の中での働きは異なってきます。
必要な量は多くありませんが、人体で生成することができなかったり、十分な量が生成されなかったりするため、食べ物によって摂取する必要があります。
ビタミンAはレバーや卵など、ビタミンB1は豚肉やほうれん草など、ビタミンCはブロッコリーや柑橘系の果物などにそれぞれ含まれています。
ミネラル
ミネラルには、カルシウム、鉄、ナトリウムなどの成分があります。
ミネラルは、骨など体の組織を構成したり、体の調子を整えたりする働きがありますが、人体で生成することができない成分であるため食べ物によって摂取する必要があります。
カルシウムは牛乳や小魚などから、鉄はレバーや卵黄や小松菜などに多く含まれています。